台風とダイビング

夏はダイビングのベストシーズンであると同時に、台風が最も発生しやすい時期。休暇の計画では一番気になりますね。楽しみにしていたダイビングが台風でできなくなるのは避けたいところですが、自然相手のマリンレジャーではこうしたことはつきもの。ここでは台風がどれほどのリスクなのか、そしてどうやって旅行を計画すればいいか考えてみたいと思います。

台風の頻度

気象庁のデータによると、毎年東南アジアで発生する台風の数は約26個で、そのうちの8つ前後が毎年全長約700kmに及ぶ奄美・沖縄地方を通過します。ここでいう「通過」とは、接近・上陸によって台風対策が必要となるといった影響が出ることを言います。

石垣島を含む八重山諸島には毎年平均で4つ程度が通過します。通常フィリピン東側で発生する台風は勢力を強めて移動し、八重山諸島を含む沖縄地方に接近するときは最も勢力が強くなっています。こうした台風との共存は島の生活の一部。東京など内地で被害を及ぼす規模の台風でも、この地方ではほとんど影響がないという様子です。

風とダイビング

それでも台風が来ればダイビングなどのマリンレジャーには通常影響が出ます。

台風で一番問題になるのは風です。一般的に0-6m/sの風は微風で、ダイビングには最適です。7-10m/sになると風は結構強く、航行中は船もそれなりに揺れます。13m/s以上になると台風でなくともダイビングは中止になることもあります。

クローズ/ダイビング中止

気象状況から判断して安全なダイビングを提供できないと判断される場合、クルーズはキャンセルとなり、決定され次第ゲストの皆様に連絡させていただきます。台風が接近・上陸する場合、一般的にその前日くらいから全ての船舶は風の影響を受けにくい港にて前後左右を多くのロープで岸壁に固定し、台風対策を取り、通過を待ちます。

クローズの期間は台風の通過速度によります。時には非常にゆっくりとしたスピードで通過する台風もあり、通過に1週間程度かかる事もありますが、通常は3日程度で台風対策が解除され、ダイビング再開となる場合が多いようです。

台風の発生状況やそれに伴うダイビングの可否につきましては当社ブログで適宜ご報告させていただいておりますが、クローズの判断は時として直前までわからない場合があります。

台風と旅の計画

それでは旅の計画はどうしたらいいでしょうか?まず第一には7-10月の台風シーズンには台風によってダイビングができないことがある事を理解する事です。このため、ダイビングの予定が近づいてきたら、こまめに台風情報をチェックすることです。気象庁の台風情報は発生してからでないと分かりませんが、nullschool.netのようにビジュアルで低気圧の発達状況や予測がわかるものもあります。

第二に台風が予想される場合は、スケジュールの変更を検討することです。通常台風が南シナ海に発生してから石垣島に接近・上陸するにはある程度の日数がかかりますので、台風の進路情報から旅行日程を再検討することもできます。台風が進路を変えることもあり、上陸が予想された台風が進路を変えたため実際はダイビングができたということもたまにはありますが、マリンレジャーでは安全第一です。

台風なんて来ないでほしい!と思うところですが、台風も自然のサイクルの中で大切な役割を持っています。夏場は海水温が上昇し、30度を超えると珊瑚の死滅が始まりますが、台風が来ると海の底の冷たい水が上がってきて、生物の生息に適した水温が保たれます。

嫌な台風もそのおかげで次回元気な珊瑚や魚たちに会えると思えば、気が休まるのではないでしょうか?